「親の家、そろそろ売らないとまずいよな」——相続した空き家を前に、そう感じている方は多いのではないでしょうか。その物件が地方にあり、相続人が都内などで働いてる場合にはどうしても後回しになりがちです。
空き家は、持っているだけで税金と劣化が進行する資産です。ただ、いざ売却を検討しても売り方を誤ると手残りが数百万円単位で変わってしまうのも事実。本記事では、空き家売却の具体的な方法、費用と税金の実額、そして売れないときの現実的な対処法まで、現場の肌感を添えてお伝えします。
この記事で分かること
- 空き家を放置するリスクと、早期売却を検討すべき理由
- 売却方法4種類の選び方と、それぞれのメリット・デメリット
- 売却にかかる費用・税金と、数百万円単位で効く特例の使い方
- 売れないときに取れる選択肢

空き家を売却したほうがいい理由
持っているだけで出ていくお金——管理コストの実態
空き家は、誰も住んでいなくても毎年お金が出ていきます。固定資産税、都市計画税、火災保険料、庭木の剪定、年に数回の空気入れ替え——細々とした出費が積み上がっていく。
私が把握している一つの参考例として、千葉県北西部にある空き家戸建て(築40年)にかかっていた年間コストが以下の通りです。
- 固定資産税・都市計画税:約12万円
- 火災保険料(空き家割増あり):約4万円
- 年4回の管理委託(簡易清掃・換気):約6万円
これら合計年間22万円。5年放置すれば110万円です。持っているだけでかかってしまうのです。さらに怖いのは、空き家向けの火災保険は通常住宅のそれより保険料が1.5〜2倍になるうえ、引き受けてくれる保険会社が年々減っている点。「そのうち売る」と思っているうちに、維持費だけで売却益が目減りしていくのです。
「特定空き家」に指定されたら、税金はどう変わるのか
よく「特定空き家に指定されると固定資産税が最大6倍になる」と耳にしますが、これは住宅が建っている土地(200㎡以下)に適用される「住宅用地の特例」によるものです(固定資産税の課税標準が1/6に軽減、200㎡を超えると1/3)。
一方で、特定空き家に指定されると、この特例が外されてしまうことで、課税標準が×1/6→×1になることで最大6倍になると言われているのです。ただ、これは少し煽りすぎな話で、実際は負担水準と負担調整措置の考え方により、複数年にかけて段階的に税額は上昇し、最終的には4倍強程度に落ち着きます(ここまで空き家を放置されることも稀ですが…)。
とはいえ、負担増することは紛れもない事実。「特定空き家」の指定は、周辺に悪影響を及ぼすと自治体が判断した時点で動き始めるため、雑草が伸び放題、外壁が崩れかけ、といった状態を放置するのは危険です。それならば、しっかり管理してくれる人に譲ったほうが良いですよね?
その他、2023年12月施行の改正空き家対策特別措置法により、「特定空き家」の一歩手前の状態である「管理不全空き家」に指定された段階でも、勧告を受ければ固定資産税の優遇(住宅用地特例)が解除されるようになったので注意を要する。
建物と土地、劣化するのはどっち?
「木造住宅は築20年で価値がゼロになる」とよく言われます。これは建物の会計上の耐用年数(22年)から来ている話で、建物部分には当てはまりますが、土地の価値は別問題です。
実務上、築20年超の木造住宅を売却する場合、取引価格に占める建物価値はほぼゼロとして扱われるのが一般的。つまり価格は土地値+αで決まります。では何が時間とともに減るのか——答えは「土地の立地価値」そのものというより、「建物を撤去してから売る場合のコスト負担」と「買主さんに与える印象」です。
シロアリ、雨漏り、外壁の剥離が進むと、買主さんは「解体費込みで考えなきゃ」と引き気味になる。結果、更地価格からさらに解体費相当を値引かれる(値引き交渉の材料になる)。人が住まない家は3年もすれば一気に傷む、というのが現場感覚です。
空き家の主な売却方法4つ
中古戸建てとしてそのまま売却する
建物がまだ住める状態なら、解体せずに中古住宅として売るのが最もコスト効率が良い方法です。売主さんは解体費を負担せずに済み、買主さんは住宅ローンを組みやすい。市場の厚みで言えば、中古戸建マーケットが一番広いと感じます。
ただし、築30年を超える木造だと「古家付き」扱いになり、住宅ローンの担保評価が下りにくくなるのが難点。このあたりの境界線は物件の構造や仕上げで変わるので、まずは地元の不動産会社2〜3社に「どう売るのが有利か」を聞いてみてください。
古家付き土地として売却する
建物の価値がほぼないとき、あえて解体せずに「古家付き土地」として出す手もあります。土地として買いたい人には「買主さん都合で解体できる」のがむしろ都合よく、売主さんは解体費を先行負担せずに済みます。
ちょっとしたコツですが、「古家付き土地」と「中古戸建て」では広告の検索経路が変わります。戸建てで検索する層と土地で検索する層が別なので、どちらで出すかは物件の売りどころ次第。解体費を値引きする前提で出すか、残したまま土地値で出すか——この判断は現場で何度も迷うポイントです。
他にも、最近はリフォームも人気になっているので、売主さんが使い物にならないと思っていても、買主さんによっては一部リフォームして、そのまま使いたいというケースは大いにあります。
更地にして売却する(解体費は売主さん負担)
建物を完全に撤去してから売る方法。新築したい買主さんにとって最も分かりやすい形です。
解体費の目安は、木造30坪で150万〜200万円が相場。2階建てやRC造、アスベスト含有が疑われる古い建物だとさらに上がります。更地にすると住宅用地特例が外れるため固定資産税が上がる点と、解体してから売れ残ると維持費だけかさむ点は要注意。「更地にすれば売れる」という保証はどこにもありません。さきほどの持論につながるわけです。
不動産会社に直接買い取ってもらう(買取)
スピード重視なら買取一択。仲介と違って買主さんを探す期間が不要で、早ければ2週間ほどで決済まで完了します。近所に知られずに売れる、残置物込みで引き取ってもらえる、契約不適合責任を免除できる——デメリットが少ない方法です。
代わりに、買取価格は市場相場の7割〜8割にとどまります。ここは「手間とスピードを買うコスト」と割り切るしかありません。
仲介か買取か——判断の軸はシンプル
迷ったときの判断軸は、たった一つ。「価格優先」なら仲介、「時間と手間の節約優先」なら買取です。
ただ、実務では「仲介で3ヶ月だけ試して、ダメなら買取に切り替える」というハイブリッド戦略を推奨することが多いです。最初から買取で出すと相場感が分からないまま安く手放すリスクがあるため、まず市場の反応を見る——これが現場で失敗を減らすやり方だと思っています。
空き家売却の流れ【7ステップ】
名義と権利関係の確認(相続登記の要否)
まず最初にやるべきは、登記簿の確認です。2024年4月から相続登記が義務化され、亡くなった方の名義のままでは売却できません。
共有名義の場合は全員の同意が必須です。これ、本当に揉めます。兄弟姉妹で「そろそろ売ろう」と話がまとまっていたはずが、いざ売却活動を始めた段階で「やっぱり残したい」と言い出す人が出てくる——こうした事例を何度も見てきました。思い出がある家だったりしますから、こればっかりはしょうがない。話し合いは、査定を取る前の段階で書面レベルまで煮詰めておいたほうが無難です。
室内の片付け・残置物の処分
内覧対応を考えると、家財道具はできるだけ処分しておきたいところ。費用の目安は、3LDK標準で25万〜50万円、4LDK以上だと50万〜75万円。ゴミ屋敷化していれば100万円を超えることもあります。
コツは、複数の不用品回収業者から相見積もりを取ること。価格差が倍近く開くことも珍しくありません。あとは、買取業者に依頼する場合は「残置物込みで引き取ってもらえるか」を最初に確認してください。処分費を買取額から差し引く形で対応してくれる会社が多く、手間が一気に減ります。そこは手間とコストを天秤にかけましょう!
不動産会社に査定を依頼する
複数社への相見積もりは必須。1社だけの査定は、相場観のない状態で値段を鵜呑みにするしかなく、結果として数百万円損することがあります。
簡易査定(机上査定)と訪問査定の2種類がありますが、空き家の場合は必ず訪問査定をお願いしてください。室内の状態、境界、隣地との関係——現地を見ないと分からないことが多すぎるからです。
査定額が最も高い会社を選ぶのも危険。「媒介契約を取るために高値を提示する」業者は残念ながら存在します。自分である程度相場を調べ、算出根拠を聞いて、筋が通っているかを確認することが大切です。
なお、自分で相場を調べる大切さや方法、業界の闇から身を守る方法については、不動産売却の正しい方法と3つの注意点|自分で相場を調べてから動くべき理由で詳しく解説しているので合わせて確認ください。
媒介契約を結ぶ(3種類の違い)
媒介契約には3種類あります。
- 一般媒介:複数社と並行して契約可。ただし不動産会社のインセンティブは弱い
- 専任媒介:1社に絞る。自分で買主さんを見つけた場合は直接取引可
- 専属専任媒介:1社に全部任せる。自己発見取引も不可
空き家売却なら、専任媒介が現実的な落としどころだと考えています。不動産会社としても力を入れやすく、2週間に1回の報告義務もあるため進捗が見えやすい。ただし、専任を結ぶときは担当者との相性と熱意をよく見極めてください。
なお、3種類の媒介契約の違いや選び方については、不動産売却の媒介契約はどれがいい?選び方・解除方法と”要注意”の専任返しを鑑定士が解説で詳しく解説しているので、合わせて確認ください。
売却活動・内覧対応
媒介契約が始まると、ポータルサイト掲載、チラシ配布、場合によってはオープンハウスなどの販売活動が始まります。売主さん側でできる工夫は、内覧時の第一印象づくり。
空気の入れ替え、玄関の掃き掃除、水回りの水垢取り、照明を全点灯——これだけで印象は相当変わります。逆に、劣化箇所を隠そうとするのは逆効果。後で発覚して契約不適合責任を問われるリスクが跳ね上がります。
売買契約の締結
買主さんと条件が合意したら、売買契約を結びます。契約当日は重要事項説明、売買契約書への署名・捺印、手付金(通常は売買代金の10%)の受領、仲介手数料の半額支払いなど——これらを一気に進めます。
ここで一番気をつけたいのが契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)の条項です。特約で責任期間を引渡し後3〜6ヶ月に限定する、免責事項を明記する——こうした調整は素人では判断が難しいので、不動産会社任せではなく、気になる条項は自分から質問するようにしてください。空き家は特に免責事項などが発生しやすいので、要注意です!
決済・引き渡し・確定申告
契約から約1〜2ヶ月後に残代金の受領と鍵の引渡しを行い、司法書士が所有権移転登記を法務局に申請。ここで売却自体は完了です。
しかし、話はまだ終わりません。売却した翌年の2月16日〜3月15日に確定申告が必要です。特例を適用して納税額がゼロになる場合でも、申告しなければ特例は使えません。これを知らずに申告を忘れ、後日税務署から数百万円の追徴課税通知が来た——という話は、本当にあります。
空き家売却にかかる費用と税金
売却時の主な費用(具体例で計算)
空き家売却の諸費用は、売却価格の5〜15%程度と見込んでおくのが現実的です。3,000万円で売れた場合を例に試算してみましょう。
- 仲介手数料:(3,000万円 × 3% + 6万円)×1.1 = 105.6万円
- 印紙代:1万円(軽減措置適用後)
- 登記費用(抵当権抹消・相続登記含む):10〜30万円
- 残置物処分費:25〜50万円(3LDK標準)
- 解体費(更地にする場合):150〜200万円
- 測量費(確定測量まで、境界不明確な場合):30〜80万円
合計で150万〜450万円前後。物件の状態によっては500万円を超えることもあります。「手取り=売却価格ではない」という前提で、事前に合計額を把握しておきましょう。
売却益にかかる税金(譲渡所得税・住民税)
売却益(譲渡所得)が出たら、所得税や住民税がかかります。計算式はこうです。
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
税率は所有期間で変わります。
- 5年以下(短期譲渡所得):約39.63%
- 5年超(長期譲渡所得):約20.315%
相続物件の場合、元の所有者(被相続人)が取得した時期を引き継げるため、通常は長期譲渡として扱われることがほとんどです。
ここで致命的な落とし穴が一つ。購入当時の売買契約書が見つからない場合、取得費は「売却価格の5%」で計算せざるを得ません。3,000万円で売れても取得費は150万円。これでは譲渡所得がほぼ売却価格そのままとなり、税金が跳ね上がります。親の遺品整理で契約書や購入時の領収書が出てこないか、真っ先に探してください。
なお、売却時にかかる税金については、【不動産鑑定士が解説】不動産売却でかかる税金を分かりやすく|譲渡所得税に全集中!で詳しく解説しているので、合わせて確認ください。
個人の売主さんに消費税はかかるのか
結論、個人が居住用の土地・建物を売るときに消費税はかかりません。土地はそもそも非課税、個人の売却は「事業」にあたらないためです。
ただし、不動産会社に支払う仲介手数料、司法書士報酬、解体費用——これらには消費税が課税されます。見積書を見るときは、税抜か税込かを必ず確認してください。
売却した翌年の確定申告が必要なケース
確定申告が必要になるのは、以下のいずれかに当てはまる場合です。
- 売却益が出た(譲渡所得がプラス)
- 特例を使って納税額をゼロにしたい
- 売却損が出て、他の所得と損益通算したい
特に2つ目——「特例を使ってゼロにしたい」ケースは、申告しないと特例が適用されません。後述する3,000万円特別控除を使う予定の方は、申告を絶対に忘れないでください。

知らないと損する空き家売却の税金特例
相続空き家の3,000万円特別控除
相続した空き家を一定の条件で売ると、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける制度です。長期譲渡所得税率20.315%で計算すれば、最大で約609万円の節税になります。
ただし、2024年(令和6年)1月1日以降の譲渡については、相続人が3人以上になると1人あたりの控除額は2,000万円に引き下げられました。たとえば兄弟3人で実家を相続して売却する場合、1人あたりの控除上限は2,000万円。この場合の節税効果は最大約406万円(2,000万円 × 20.315%)が上限となります。
※相続人1または2人:1人あたり最大3,000万円控除 ※相続人3人以上:1人あたり最大2,000万円控除
対象となるのは、ざっくり次のような物件です。
- 昭和56年(1981年)5月31日以前に建てられた家屋(旧耐震基準)
- 相続開始直前まで被相続人が一人で住んでいた
- 相続から譲渡まで空き家状態(事業・貸付・居住用に使っていない)
- マンションは対象外(一戸建てのみ)
「一人暮らし」という要件は厳しくて、被相続人が亡くなる直前にたまたま家族と同居していた、というだけでアウトになります。老人ホーム入居後の空き家も、条件を満たせば対象になる例外規定があるのでここは税理士に確認してほしいところです。
適用を受けるための要件と期限
控除を使うには、次の条件をすべて満たす必要があります。
- 期限:相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却(本特例は2027年12月31日までとされている)
- 控除額の上限:相続人1〜2人なら1人あたり3,000万円、相続人3人以上は1人あたり2,000万円(2024年1月1日以降の譲渡から適用)
- 売却価格:1億円以下(共有なら共有者全員の合計)
- 建物の状態:耐震基準を満たすリフォーム後に売るか、解体して更地で売る(※2024年1月1日以降の譲渡から、買主さんが引き渡し翌年の2月15日までに耐震改修または解体する条件でも適用可能になりました)
- 書類:市区町村発行の「被相続人居住用家屋等確認書」が必須
特に期限は絶対です。「相続から3年の12月31日」——この日を1日でも過ぎれば控除はゼロ。数百万円が消える計算になります。相続発生から逆算して、遅くとも2年目には売却活動を本格化させたいところ。
マイホーム特例との違い
よく混同されるのが「居住用財産の3,000万円特別控除(マイホーム特例)」。両者は似て非なる制度です。
| 項目 | 相続空き家特例 | マイホーム特例 |
|---|---|---|
| 対象 | 相続した「被相続人の」住まい | 自分の住まい |
| 築年数要件 | 昭和56年5月31日以前 | なし |
| 耐震要件 | 必要(または解体) | 不要 |
| 売却期限 | 相続後3年以内 | 住まなくなってから3年以内 |
| 対象物件 | 一戸建てのみ | マンションも可 |
自分が住んでいた家を売るなら後者、相続した家を売るなら前者——こう整理すると分かりやすいと思います。両方の適用を同時に狙えるケースもあるため、状況が複雑なら税理士に相談してください。
空き家が売れないときの対処法
売れない原因、まず疑うべき3つ
売れないときは、原因を冷静に見極めるのが先決です。現場でよく見る原因はこの3つ。
- 価格が相場から乖離している(最多)
- 建物の印象が悪い(残置物、汚れ、写真の質)
- 立地そのものに需要がない
このうち、1番と2番は売主さん側で対策できます。3番は打てる手が限られますが、買取や空き家バンクへの切り替えという選択肢があります。3か月以上問い合わせがゼロ、または内覧はあるのに決まらない——こうした状態が続くなら、戦略の見直し時期です。
価格見直しと販売戦略の再検討
まず試すのは、価格改定と広告の刷新。競合物件との比較データを不動産会社に出してもらい、自分の物件が「検索上位に出るゾーン」に入っているかを確認します。
プロカメラマンによる写真撮影は、地味に効きます。スマホで撮った暗い写真と、ちゃんとライティングした写真では、問い合わせ数が2〜3倍違うこともあります。家具を配置して生活感を演出する「ホームステージング」も、空室物件では有効な手です。
媒介契約は途中でも見直せる——会社変更の考え方
結論から言うと、専任媒介・専属専任媒介であっても、契約期間中に解除することは可能です。不動産会社が販売活動を怠っている、報告が滞っている、といった明確な根拠があれば、書面で改善を求めた上で解約できます。
ただ、契約解除は一つのカードであって、最初の一手ではないと考えています。まずは担当者に状況を率直にぶつける、戦略変更を依頼する、担当者の交代を申し出る——こうしたステップを踏んだうえで、それでも改善されないときに解除を検討するのが現実的です。
契約の種類ごとの解除ルールや違約金の考え方は、こちらの媒介契約解説記事でも触れているので、合わせて参考にしてください。
不動産会社を変更するときの注意点
変更する場合は、前の会社と違う強みを持つ会社を選びましょう。大手で売れなかったなら地元密着型、仲介で動かなかったなら買取専門、といった具合です。
変更時には、これまでの売却活動で何が効かなかったか、どんな問い合わせがあったかを新しい会社に正直に伝えてください。隠すとまた同じ轍を踏みます。
どうしても売れないときの最終手段
仲介で半年以上動かないなら、次の選択肢があります。
- 買取に切り替え:価格は市場の7〜8割になる(物件の状況によってはさらに下がる)が、確実に売却・現金化できる
- 空き家バンクへの登録:自治体運営のマッチング制度。移住希望者向け
- 賃貸への転用:DIY賃貸など、売却以外の活用も視野に
- 相続放棄・国庫帰属制度:最終手段として、国に引き取ってもらう道も
どれを選ぶかは、「いつまでに」「いくらで」「どのくらいの手間をかけて」を整理してから決めてください。必ず手段はあります!
空き家売却で失敗しないための注意点
査定額は必ず3〜4社で比較する
1社だけの査定を鵜呑みにするのは、言うなれば一軒だけで見た中古車を言い値で買うようなもの。相場観がないと判断しようがありません。
気をつけたいのが、異常に高い査定額。「この価格で売れます」と言って媒介契約を取り、数ヶ月後に「反応が悪いので値下げしましょう」と言ってくる業者は、残念ながら今でも存在します。査定の根拠を聞いて、納得できるかどうかで判断してください。
契約不適合責任のリスクに備える
引渡し後、買主さんから「雨漏りがあった」「シロアリ被害が見つかった」と損害賠償を請求される——これが空き家売却で最も怖いトラブルです。
対策は2つ。
- ホームインスペクション(建物状況調査):5〜15万円で建物の状態を事前に調査。不具合を開示することで、後の紛争を防げる
- 特約による責任期間の制限:引渡し後3〜6ヶ月に限定する、上限額を設ける、など
どうしても不安が大きい場合は、契約不適合責任が免除される買取を選ぶのが最も安全ではあります。
相続した空き家は3年以内が勝負
繰り返しになりますが、相続した空き家は3年以内に売る——これが鉄則です。3,000万円特別控除の期限もそうですし、建物の劣化も3年あれば目に見えて進みます。
「そのうち売ろう」と思っているうちに期限が過ぎ、管理コストは嵩むうえに数百万円の税金を余計に払うことになった、という後悔話を、私はいくつか聞いてきました。相続が発生したら、まず査定を取って売却方針を決める——遺品整理と並行して動くくらいで丁度いいと思います。
まとめ
空き家は、持ち続けるほどに税金と劣化で目減りする資産です。ただ、売り方次第で手残り額は数百万円変わります。
今回お伝えした要点を整理すると、こうなります。
- 放置すると年20万円超の維持費+特定空き家指定リスクで、早期売却が合理的
- 売却方法は「そのまま」「古家付き土地」「更地」「買取」の4択。状態とスピード感で選ぶ
- 相続空き家の3,000万円特別控除は、条件が合えば最大約609万円の節税効果あり
- 売れないときは価格見直し・会社変更・買取切り替えと、選択肢は複数ある
- 契約不適合責任のリスクは必ず備える
相続した空き家を目の前にして動けずにいる方は、まず一歩——不動産会社への査定依頼か、税理士への相続特例の相談——から始めてみてください。動き出せば、選択肢は意外とたくさんあります。ご自身だけで抱え込まず、信頼できる専門家と一緒に進めていきましょう。
不動産のことで迷ったら、まずご相談ください。
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